【感動】TikTokで今話題の「アルジャーノンに花束を」読んでみて あらすじ&感想

 

         

 

 

【1】あらすじ

皆さんは、知能がぐんと上がる脳手術があると言われたら実際に手術を受けたいと思いますか。主人公のチャーリイ・ゴードンは知的障害を持っており、32歳ですが5歳程度の知能しか持っていません。そんな彼は開発されたばかりの脳手術を白ネズミのアルジャーノンとともに受けます。手術によって、彼はIQ180を超える天才へと変貌します。ですが、その一方で彼はそれまでに置かれていた辛い状況に直面します。一つは、母親から疎まれていたこと、もう一つは、仕事仲間から虐待を受けていたことです。この二つを理解し始めるようになってから、彼は徐々に気持ちのバランスが取れなくなりました。ここら辺から彼は孤独を感じるようになりました。孤独な彼の唯一の心の慰めが、アルジャーノンの世話でした。しかし、アルジャーノンは異常行動をとるようになっており、調査の結果、知能が低下していることが分かったのです。この出来事により、彼は死期を悟ります。そして、物語は最後の一文「どーかついでがあったらうらにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてやてください」によって幕を閉じます。

 

 

【2】「アルジャーノンに花束を」って何?

アルジャーノンに花束を」は、1959年にアメリカのダニエルキイスによって書かれたSF小説です。2015年には山下智久さんが主演でドラマ化されたことでも話題になりました。

 

         

             ダニエルキイス(1927-2014)

 

 ですが、私は異なることがきっかけでこの本を手に取りました。sns等で数々の小説を紹介しているけんごさんという方がこの本を実際に紹介しており、snsでとても話題になっていました。私もその紹介を拝見した際に、その紹介に心打たれ、ぜひ読んでみたい、と関心を抱きました。その後、本屋を訪ねてその時のことを思い出し手に取りました。

 

 

【3】感想

 この本を実際に読んでみて、最も印象に残っていることは、知能が上昇する脳手術を受けたからと言ってチャーリイの幸福度が上がらなかったこと、つまり、脳手術が必ずしもプラスに傾いたわけではないということです。術前の彼というのは、知能は低いかもしれないが、とてもピュアでまっすぐな心を持った青年でした。ですが術後、知能の上昇によって、自分の置かれている状況に気づき、自己中心的で人を見下すような青年になりました。それを証明するように、術前にはチャーリイにおける「友達」が何人もいました。ですが術後のチャーリイには、「友達」が一人もいませんでした。これは現実でも起こりうる事だと思っており、知能に関しては高いに越したことはないが、知能が全てではないということを考えさせられました。
 また、もう一つ印象的なのが、最後の一文「どーかついでがあったらうらにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてやてください」です。作中でチャーリイは二回の人格の変化が起きるなど、まさに紆余曲折な人生であったことは間違いではありません。短いとも長いとも捉えられる人生だったでしょう。これは、その人生について一言で伝えられる言葉、総まとめの言葉といっても過言ではないでしょう。チャーリイのすべてを表していると思います。ともに被検体として、時には友情さえ感じたアルジャーノン。再び戻ってきたピュアな心。知能が戻ったからと言って、元通りになったわけではなく、多くの事を経験し、彼は最終的には、人間が生きていく上で最も大事な「人間性」を見つけたのではないか。「手術を受け、傷つき、孤独になったが、その日々を否定しない」という思いの表れだと思います。

 私はこの物語全体を通して、「幸せ」とは何なのかについて深く考えさせられました。この物語におけるチャーリイの最も幸せだった瞬間は術前だったと思います。なぜなら、彼の表情に笑顔が浮かんでいたからです。また、多くの友達を抱えていました。しかし、術後は孤独で、決して「幸せ」ではなく、苦い日々を送っていたのではないか。そんな疑問が何度も僕の中に浮かびました。捉え方によっては「知らなくてもいいことは、知らない方がいい」という捉え方もできますが、私は的を得ているとは感じませんでした。私には「望み通りに生きても幸せとは限らない」という言葉がベストなのではないかと感じました。彼は自ら手術を熱望しました。しかし、結果として知能を得た代わりに、いろいろなものを失いました。それは確実に知能よりも大切なものたちでした。このことから、望んでいることであっても多くのリスクが伴っており、必ずとも幸せになれるとは限らないということを学びました。。
 私はこの本を手に取ったことで、多くの事を学ばさせていただきました。それは、心の奥に刺さるようなこと、これからの生き方について考えさせられることなど様々です。これらは、この本でなければ学ぶことが出来なかったと思います。ぜひ、機会があれば手に取ってみてください。